留学生の面接

　日本には外国から来日して勉強している留学生さんに対する奨学金制度がいくつかあって、その中に私も関係する奨学金があります。この奨学金制度はなかなか難関と言われるものですが、様々な国の留学生たちが大学の教授などの推薦を受けて申請してきます。その彼らの申請を審査する選考会が先週末ありました。応募するのは、様々な分野で高度な勉強や研究をしているとても優秀な留学生たちです。審査する側の私達には、そのような高度な知識はありませんから、勉強や研究の内容ではなく、「この奨学金の目的に適しているか」、「奨学金を遣って勉強や研究する意気込みは十分感じるか」、「最後までやり遂げる覚悟はあるか」などを書類と面接で審査します。それと日本で勉強・研究しながら日本の人や文化にも触れ、日本を理解し、将来自分の母国と日本の懸け橋になることをお願いしています。ですから日本語が話せるか、読み書きが出来るかも重要です。つまりお金だけを受取る奨学金制度ではないのです。
　応募者28名の審査だったのですが、その中にスリランカから来ている34歳の音楽の教師の方がみえました。彼女は過去に日本で勉強し、一旦帰国しました。そしてその時に日本で学んだことを母国で実践することに成功し、教える子どもたちに極めて大きな成果をもたらすことができたと言います。そして再度私費留学をして、小学校の音楽に関する教科の制度改革と内容のさらなる充実を求めて研究を続けています。このように自分が目指すことの実現のために、一生をかける人に出会うことができました。書類審査でも慣れない日本語で書かれたことなのに気持ちが伝わってきました。面接審査でも彼女の誠実さと情熱を感じることができました。他にも素晴らしい留学生たちに会うことができました。
　結果17名が奨学生に選ばれました。4月には選ばれた彼らを集めて入学式です。コロナになんか感染しないようにと祈ると共に、彼らの素敵な輝きを持った目を見ながら、言葉を交わすことを楽しみに待っています。ですけど、紹介したスリランカの人のような自分の一生を、命を教育にかけている先生って、今日本にみえるのですかね。